日本心理学会第88回大会にて当法人の八重樫が発表を行いました。

「心理学をビジネスのフィールドで”活かす”ための実践知」というテーマで発表し、ABA(応用行動分析学)の企業活用についてお話しました。

心理学をビジネスでどのように活かすのか

最初に、「心理学をビジネスで活かす」と言っても、どのように活かしたいのか、その目的によって異なることをお伝えました。

当法人が活かしたい先は、目の前の組織や人の行動を変えることです。

一般的・普遍的にビジネスで使える真理を発見するより、
新しく心を測定するツールを開発するより、
物事の関係性を分析するより、
新たな理論を提唱するより、

現場の人たちの行動を継続的にどう変えるか、これが私達が心理学を活かしたい先なのだとメッセージを送りました。

そしてそれを実現するのに、最も適している学問がABAだと思っています。

ABAのビジネス活用

次に、ABAの行動科学に基づいた組織行動マネジメントとして、「Five-Step Process」を例に、実際のケースデータと共に紹介しました。

改善したい成果をヒアリングし、その成果につながる具体的行動に落とし込むとこから始まります。
具体的行動が決まれば、それをどのように観察・測定・記録するのかの仕組み作りを行い、得られた行動データをフィードバックします。
そして、目標と現状との乖離を確認し、強化子(行動することによるメリット)を設定します。

やっていることはシンプルに思えますが、シンプルだからこそ専門性が活かされます。

”具体的”行動とは何か、どのように落とし込んで測定するのか、フィードバックの内容や頻度はどうするのか、強化子はどのようにアセスメントするのか…
などを、ABAの知見と手法を用いて導入しています。

実際のな事例を見たい方はこちらをご覧ください。

組織行動マネジメントの未来

最後には、従来のオーソドックスな手法から新しい手法への試みを提案しました。

先ほど紹介した「Five-Step Process」のように、従来の組織行動マネジメント(OBM)では、改善させたい行動を決めて、それを継続的に追いかけながら改善させていきます。

しかし、組織行動マネジメントの研究や実践のほとんどはアメリカです。

アメリカと日本では働き方や賃金形態など、様々な面で異なります。

特に日本では、ジェネラリストとして、複合的に仕事をこなしていきます。

そうなれば、何が標的行動として妥当かも、日々流動的に変わっていきます。

そこで、行動分析家やコンサルタントが1つの標的行動を決めるのではなく、従業員本人達で適切な標的行動を決めるサポートを行う介入パッケージを提案しました。

来年の学会では、この介入パッケージの導入事例やデータを発表できるよう取り組んでいきます。

 

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