概要

九州地方をメインに展開するアミューズメント店舗を対象に、接客改善のための組織行動マネジメントを実施。
求める接客を具体的な行動レベルに落とし込み、それに基づいてリーダー層が接客場面の観察・記録を行い、その行動事実を日々フィードバックしました。
その結果、接客に課題ありと判断された従業員が、15名→1名へと改善しました。

クライアントの背景・課題

まずはどの行動を改善するかを決めるため、店舗で何が問題なのかヒアリング行ったところ、このような問題が挙げられました。

店長
店長
従業員のマナーや接客が悪い。
それに、リーダー達も部下をみないし、指導もしないんだよね。
経営層
経営層
接客マニュアルはあるし、毎月一回、マナーや接客が悪いスタッフに1on1面談をしているんだけどなぁ…
なるほど!つまり、
①従業員の接客の問題
②リーダー達の指導の問題
③改善策としてのマニュアルや面談の問題
となりますね。
それでは、これらを解決するために、それぞれ行動レベルに落としこんでいきましょう。
八重樫
八重樫

アプローチ

①従業員の接客の問題

「接客が悪い」と言っていましたが、今教えているマニュアルはどのような内容でしょうか?
八重樫
八重樫
店長
店長
「気持ちを込めて挨拶する」
「心から感謝を伝える」
など、基本的な内容で、出来て当たり前のことしか伝えてないんですよ。

確かに基本的な内容ですね。
ただ、人によって解釈が大きく異なりそうです。
例えば、ある人にとっては「気持ちを込めた挨拶」だと思っていても、私にとっては「気持ちがこもっていない」となるかもしれません。
そのような齟齬を起こさないためにも、やってほしいことは行動レベルで伝える必要があります。
八重樫
八重樫
行動レベル?
どんな状況で、どんなことをやってほしいのかということです。
「適切な接客」や「気持ちを込めた挨拶」は行動レベルとは言えません。
”適切””気持ちを込める”とはどんな場面でどんなことを行うことなのかを伝えましょう。
そのためにも、一緒に行動レベルに落とし込んでいきましょう。
こんなところでしょうか。
これでかなり明確になりましたね。
次はリーダー達の指導について考えていきましょう。

②リーダー達の指導の問題

先程、やってほしいことを行動レベルに落とし込みましたが、これはリーダー達の指導向上にも繋がります。
店長
店長
まだ指導方法とか教えていないのに?
はい。
実は教え手側も、教えたいことを行動レベルに落とし込めないせいで、何をどうつ指導したらいいかわからないというケースが多々あるんです。
そうなんだ。
じゃあもうこれで指導もするようになるの?
いえ、一歩前進しましたが、まだ不十分です。
指導をするためには、”普段から”従業員の行動を観察する必要があります。
そして観察した内容はこんな感じで記録しておきましょう。
まずは一日3分でいいので、従業員の接客を行動レベルで観察してみましょう。
八重樫
八重樫

店長
店長
どんな場面で何を教えるかを明確にして、一日3分くらいの観察と記録なら、リーダー達でもできそうですね。
早速取り組んでみます!

③改善策としてのマニュアルや面談の問題

マニュアルは行動レベルに落とし込んだので、後は面談ですね。
今は、接客に問題がある人を対象に、月一回行っているそうですが、どんな面談なんですか?
八重樫
八重樫
店長
店長
決まったやり方はないですが、なぜ出来なかったのか、なんでやらなかったのかを聞いています。
毎月時間をかけて何十分もやっているのはすごいですね。
しかし、実は月一回のフィードバックでは遅すぎるんですよね。
行動してからフィードバックされるまでの時間は短いほど、行動へ影響を与えると言われていますので、行動後一ヶ月経ってから面談でフィードバックしても影響が薄くなります。
八重樫
八重樫
店長
店長
でもこれ以上面談頻度をあげるなんて、大変すぎて出来ないですよ
いえ、面談頻度を上げる必要はありません。
月一回の面談に労力をかけるのではなく、日々の行動後にちょっとしたフィードバックを行うほうが効果的です。
せっかく接客を行動レベルに落とし込んで、3分間観察しているんだから、パフォーマンスフィードバックを検討してもいいかもしれません。
八重樫
八重樫
店長
店長
パフォーマンスフィードバック?
パフォーマンス・フィードバックとは、遂行者の行動情報を見える化して、本人自身へ伝える手法です。
自分の行動って、よくわかっているつもりでも案外そうでもないんです。
だからこそ、行動情報をグラフなどでフィードバックして改善を促すことができます。
アメリカの組織行動マネジメントでも、もっとも使用されている方法なんですよ。
八重樫
八重樫
店長
店長
具体的にはどうすればいいの?
今既に接客行動を観察&記録しているので、その結果を、接客を行った日の退勤前にそのまま本人へ伝えましょう。
記録結果について何か言いたくなるかもしれませんが、感情的になったり、なぜ出来ないかを追求する変わりに、本人の行動情報をシンプルに与えてあげてください。
八重樫
八重樫
店長
店長
わかりました。
パフォーマンス・フィードバックに取り組んでみます。
それでどう変わるか見てみたいと思います。

結果

結果が出たので見てみましょう。
「ベースライン」というのがこれまでの状況で、「P・F」というのが、行動レベルに落とし込んでパフォーマンス・フィードバックを行った結果です。
八重樫
八重樫
※全て実際のデータです


店長
店長
かなり良くなりました!
今までは接客に問題がある人を10人以上面談していたのに、今回の取り組みでほとんど0になりました。
もっとも課題があった3名も、まだ完璧ではないにせよ、100%遂行できるようになる日が増えました。
効果が出て何よりです。
数値に変化があったのも嬉しいですが、これまで指導をしなかったリーダー達がちゃんと部下の行動を観察しているのも素晴らしいですね。
今回は接客の問題でしたが、行動レベルに落とし込み、行動を観察・記録して、パフォーマンス・フィードバックするというやり方は、他の問題にも使える手法です。
ぜひ別の問題にも応用してみてください。
八重樫
八重樫

クライアントの声

「指導やマネジメントって、経験や人柄なんだと思っていましたが、行動にフォーカスする仕組みがこんなに有効なんですね。
八重樫さんが抜けた後も、従業員達自身で行動のグラフを作成して皆でチェックしたりしています。
少し前までは考えられない変化です。ありがとうございました!」