概要

福井勇社会保険労務士事務所様にて、給与計算業務の正確性向上の組織行動マネジメントを実施。
ミス自体の内容とその時の行動をアセスメントし、日々の取り組みデータに基づくパフォーマンス・フィードバックを導入しました。
その結果、毎月生じていた業務ミス件数が、半分以下へと改善しました。

クライアントの背景・課題

改善したいことや悩みはなんですか?
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
忙しくて営業活動に本腰を入れないことです
「忙しい」と仰いましたが、組織としてどんなことが良くなるとその忙しさは緩和されそうですか?
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
今は私がどの業務も全てチェックしており、そのチェック負担が大きいです。
授業員の方も、まだまだミスが多いので、少しでもチェック負担が減ってくれると助かるんですが…特に給与計算業務は私が隅々まで見ないとダメですね
では、給与計算業務における従業員の自立と、福井さん自身のチェック負担が軽減されることが目的ですね。
八重樫
八重樫

アプローチ

一口に給与計算業務と言っても様々なやり方があると思います。
福井さんの事務所ではどのような手順で、どんな行動をしているのでしょうか?
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
手順ですか。
とりわけ難しいことはなく、お客様から来たデータを従業員へ渡すので、そのデータをそのままミスなく入力してもらうだけです。
パフォーマンス向上やミス削減に取り組む上で、まさに今何気なく仰ったところにポイントがあります。
ポイントは、成果と行動をごちゃ混ぜにしないことです。
八重樫
八重樫
今、福井さんは、「ミスしないようにそのまま入力する」と言いましたが、「ミスをしない」というのは行動ではなく、行動の集積である成果です。
重要なのは、どんな行動の、どこに気をつけなければならないのか、
また、今どこまで出来ていて、どこから出来ていないのかです。
つまり、ミスをしないという成果を出すために、どんな行動が必要なのかです。
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
成果と行動を分けて考える、なるほど!
そのためには、「給与計算業務」という1単位ではなく、業務開始から終了までの流れを、具体的な行動連鎖に落とし込む必要があります。
私が1つ1つ手順について質問しますので、行動連鎖を作成してみましょう。
八重樫
八重樫

八重樫ヒアリング中…

ありがとうございます!
こんな感じでしょうか。
①福井さんが共有フォルダに入れたデータを従業員が見る
②前月からの給与情報の変更点を確認する
③政府改定情報を確認する
④福井さんが業務手順書を個別に作成し、従業員はそれを確認する
⑤エクセルにて給与データを入力
⑥福井さんへ給与データと手順書を提出
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
かなり整理されました!
今までは、「そのまま入力する」しか見えていかなかったですが、こうしてみると、どんな準備や確認の行動が必要か明確ですね。
そうですね。
改善したい成果を特定して、その成果につながる行動連鎖を明確にすることが改善の第一歩です。
続いて、この行動連鎖を従業員本人へも伝える必要があるのですが、その前に、④個別の業務手順書の作成を福井さんが行っていますね。
丁寧なことだとは思うのですが、これでは一生従業員の自立へ繋がりません。
逆に従業員自身が手順書を作成して、その手順書と入力された給与データをセットで貰えることを目指しましょう。
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
従業員自身で手順書を…
そうなってくれたら、私の負担は大きく減りますね。
さらに欲張りを言えば、手順書は従業員自身で作った上で、今よりもミスがなくなれば最高です。
その欲張りを実現させましょう!
次に、現状把握についてお聞きしたいと思います。
現状どれくらいミスしているか測定する必要があります。
加えて、どんな顧客の案件で、どんなミスが多いかも見てみましょう。
それがわかると、ミスしやすい状況や、過去にミスした内容を振り替えることができます。
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
現状把握するのはわかりました。
でも、現状把握よりもどうしたら改善できるかを知りたいんですが…
実は、改善するための現状把握なのです。
先程の行動連鎖を見ると、従業員の行動は福井さんに提出するのが最終になっています。
では、提出した後にミスが発覚したらどうしているのでしょうか?
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
責任者が私なので、先方へ謝罪し、今度こそ間違いがないように、私が修正しています。
そうなると、従業員自身はどんなミスがあったか、どれくらいミスがあったかもよく分かりません。
フィードバックが0の状態です。
これでは中々成長できません。
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
言われてみると確かにそうですね。
では今後は、ミスしたらその都度指摘すればいいんですね。
厳しいようですが違います。
それでは、いつまでも福井さんの指導ありきになってしまい、自立へ繋がりません
さらに、「ミスの指摘」というネガティブなフィードバックは、フィードバックを受ける従業員の不満や攻撃的な行動につながる可能性もあります。
そのため、取り組んだ案件とそのミス件数については指摘せず、客観的な遂行事実をフィードバックしましょう。
そして、従業員自身で過去にどんなミスがあったから、どこに気をつけなければならないのかを、顧客ごとにわかるようにしましょう。
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
従業員自身で振り返ってもらうようにする、その流れが今まではなかったんですね。
そして、客観的な遂行事実をフィードバックするためには、測定されたデータ(現状把握)が必要なのですね。
その通りです!
では早速客観的な遂行事実を測定していきましょう。
測定結果はフィードバックにも使うので、単なる数値ではなく、グラフにしておきます。
さて現状はどうでしょうか。
八重樫
八重樫
毎日とまではいかないものの、2日に1回以上はミスしていますね。
このグラフをフィードバックとして使いつつ、自分で振り返りが出来るよう、過去のミス内容を客別にまとめて提示するようにしましょう。どれくらいよくなるでしょうか
八重樫
八重樫

結果

福井所長
福井所長
半分程にミスが減りましたね
しかも私が直接指導したり、ダメ出しせずに、事実のフィードバックと自己振り返りで改善したのが、素晴らしいです。
まさに自立への第一歩という感じです。
0とまではいかなかったものの、これだけミスが減れば、福井さん自身の負担もかなり減ったのではないでしょうか。
先程の結果は、全ての給与計算業務を反映させているので、まとめて月別でも見てみましょう。
八重樫
八重樫
こちらの方がわかりやすいですね。
ミスの量が減っただけではなく、とても良い傾向が見られています
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
傾向?
介入前では、3ヶ月間ミス回数が増加していますよね。
それが介入した後では、逆に毎月減少しています。
つまり、この従業員の方が、今でも日々成長しているということです。
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
ミスが減ったことだけに目が行きがちでしたが、傾向も含めてみると、なおさら取り入れて良かったと実感しました。ありがとうございます。

クライアントの声

最後に、福井所長へ今回の取り組み全体についてインタビューを行ったので、その内容を紹介します。

まずは、今回の取り組みについての率直な感想を聞かせてください。
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
一番感じているのは、打ち合わせをしながら、気になるポイントを聞き取って、方向性を八重樫さん自身で変えているのが凄いなと思いました。
私が相談したことと、現状を加味して、私自身気づいていない課題が浮き彫りになりました。
確かに、最初はそもそも違う問題を挙げられていましたね。
ヒアリングを繰り返す中で、実はもっと改善すべき所があるのではないかと提案しました。
八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
そうそう。
聞き取りを繰り返す中で、別な課題が見えてきた印象です。
初めから着地点を1つだけ決めているのではなく、その状況に合わせて着地点を都度修正しているのがよかったです。
嬉しいご意見ありがとうございます。
次に、取り組みの中で今ひとつだと感じたことを聞かせてください。
福井所長
福井所長
今ひとつっていう感じはなく、一つ一つに意味があり、根拠・実行・分析を通して改善につなげていたと思っています。
では、大変だったことはありますか?
福井所長
福井所長
こちらは遂行事実を淡々とフィードバックしているつもりでも、部下側がネガティブに受け取ってしまう可能性も考えると、そこは結構気を使いました。
同じフィードバック内容でも、誰がどのように伝えるかで、部下側がどう捉えるか変わって来ますよね。

最後に、福井さんが感じた取り組みのポイントなどがあれば教えてください。

八重樫
八重樫
福井所長
福井所長
今回のケースに限らず、パッと見つかって改善するっていうわけではなく、解決策自体を探索している取り組みだと思いました。
一つの解決策で上手くいかなかった時に、データを取って、フィードバックして、というサイクルをどう回していくかがポイントですね。
まさに私が感じているポイントと全く同じですね。
ご意見ありがとうございました!