ちょっと使えるABA(応用行動分析学)シリーズ。

今日は「生得性(せいとくせい)と習得性(しゅうとくせい)」の、
考えについてお伝えします。

人によって、好きなもの、嫌いなものは変わるのが、
よく分かります。

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★生得性と習得性。【行動分析学で人を動かす】
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ABAの使える知識 「生得性と習得性」

・お金は最初からもともと好子?

「お金」は好きですか?
と聞かれたら、当たりまえだと答えられるかもしれません。

ほとんどの人に、「お金」は好子として強力に働きます。

お金という好子が提示されるために、
働くことが強化されるというのも、当たり前のことです。

でも、生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、
「お金」は好子にはならないのです。

逆に、母乳だとか、スキンシップみたいなものが、
強力な好子として働きます。

実はこのように、好子には、生まれ持って好子となるもの、
後から好子に変わるものというような区分があるのです。嫌子も同様です。

【生得性 好子・嫌子】
「生まれた時から好子(嫌子)になるような刺激」

【習得性 好子・嫌子】
「最初は好子でも嫌子でもないが、後からその性質になるような刺激」

「生得性」の好子には、例えば、食べ物や水、
適切な温度や湿度、人とのふれあい、性的刺激などがあります。
生きるために必要なものが多いでしょうか。

「生得性」の嫌子の方も、大きな音や、痛い刺激、
過度な温度など、生きるために避けるべきものが当てはまります。

一方、「習得性」の好子は、育ってきた環境などにより、
個人ごとに違うものになります。

・習得性好子・嫌子は人によって異なる

そのため、人によっては好子として働いても、
別の人には好子にならないケースもあり得ます。嫌子も同様です。

みんなの前で褒められることが好子だと思って褒めても、
その人が以前、みんなの前で恥をかかされた経験などがあり、
それと似たような状況になることが嫌子として働くこともあったりするのです。

食べ物の種類の好き嫌い、嗜好品の好き嫌い、
注目されること、目立つことの好き嫌い、趣味の好き嫌い等々。

これらは、育ってきた過程の中で、
たまたま他の好子と一緒に出てきたために好子になったり、
逆に他の嫌子がでたときに、同時に出てたりして嫌子としての機能を持ったりなどして形成されていっているのです。

本当に好子なのか、それとも嫌子なのか、どちらでもないのか、は、
実際に行動が強化されるか、弱化されるかで初めて明らかになるものでもあるのです。

そうはいっても、大抵の人に共通で好子として働くという、傾向はもちろんあります。

お金などはその最たるもの。

生得性の好子である食べ物や水などが、
お金と引き換えに入ってきたり、
すでに好子として機能しているものが、お金があれば手に入ったりするわけです。

当然に、そのうちお金自体が、
大抵の人にとっての強力な習得性の好子になっていくのです。

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★編集後記
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ただいま高校受験の真っ最中です。

うちは早めに単願受験だったため、決まっているのですが、
同級生は昨日あたり私立受験。
そして、今月中に都立受験。

インフルエンザも大流行して、
本当に本人も親も大変そうです。

この受験っていうもの、
メリットももちろんあるとは思うのですが、
なかなか酷なシステムかなあ、と思います。