組織を改善させるフィードバック
組織を改善するための方法は多種多様に渡ります。
例えば、従業員の訓練や目標設定、フィードバック、賃金UPなどが上げられます。
その中でもフィードバックは、組織の従業員の行動を変えるための手法として、最も持ちられています(VanStelle et al, 2012)。
しかし、どのようなフィードバックが従業員の行動改善に繋がるか、その詳細については漠然としています。
そこで今回は、誰が、どのくらいのタイミングで、どのようにフィードバックするのが効果的なのかについて、各要因ごとに調べた研究を紹介します。
VanStelle et al (2012). The Publication History of the Journal of Organizational Behavior Management: An Objective Review and Analysis:1998–2009. Journal of Organizational Behavior Management, 32:2, 93-123.
フィードバックに伴う要素
概要
今回紹介する研究は、Sleimanらが2020年に公表したものです。
1998年から2018年までの20年間にわたり、5,599人を対象に、様々な組織でフィードバックを実践しました。
その中で、フィードバックのどのような要因が、効果的にパフォーマンスを向上させるのかまとめた研究です。
研究結果
全体では、92.31%がフィードバックによる行動改善の効果が示されました。
その内、効果量(効果の程度を表す指標)が0.8以上(大きな~非常に大きな効果効果量)の実践が61.46%、0.6~0.79(大きな効果量)が19.79%、効果量が0.59以下(中程度の効果量)が11.46%、効果量が0.2以下(小さな効果サイズ)が7.29%でした。
フィードバックにおける各要因ごとの分析は下記の通りとなりました。
最も用いられた手法と、最も効果的だった手法に分けて、それぞれの要因ごとに紹介します。
・誰がフィードバックするか
最も多かったフィードバック者:スーパーバイザーや管理者(30.21%)
最も効果的だったフィードバック者:自己(効果量0.90)
※「自己」とは自分で自分の行動を記録して振り返ること
・どんな媒体でフィードバックするか
最も多かった媒体:グラフと口頭の組み合わせ(22.92%)
最も効果的だった媒体:グラフと口頭と書面の組み合わせ(効果量1.07)
・フィードバック内容を他者に見える形で公開するかどうか
最も多かった形:公開(52.08%)
最も効果的だった形:非公開(効果量0.82)
・個人へフィードバックするかグループへフィードバックするか
最も多かった対象:個人へのフィードバック(51.04%)
最も効果的だった対象:個人へのフィードバック(効果量0.80)
・どれくらいの頻度でフィードバックするか
最も多かった頻度:週に一回(40.63%)
最も効果的だった頻度:日々フィードバックし、かつ週に一回まとめてフィードバックする(効果量1.02)
・行動してから即時にフィードバックするかどうか
最も多かったタイミング:即時にフィードバックしていない(87.50%)
最も効果的だったタイミング:即時にフィードバックする(効果量0.87)
・望ましい行動にフィードバックするか、望ましくない行動にフィードバックするか
最も多かった行動:望ましい行動へのフィードバック(75%)
最も効果的だった行動:望ましい行動へのフィードバック(効果量0.80)
以上となります。
フィードバックの要因別に見てみると、最も用いられている手法が、最も効果的ではないものも多かったですね。
実際に組織で行われているフィードバックを数値化してみることで、今私達が行っているフィードバックをより効果的にすることに役立ちます。
Sleiman, A. A., Sigurjonsdottir, A., Elnes, A., Gage, A. N., & Gravina, E. N. (2020). A quantitativereview of performance feedback in organizational settings (1998-2018). Journal Organizational Behavior Management, 40(3-4), 303-332.