近年、退職代行サービスの利用が増えてきています。その背景には職場環境の変化や社会的な問題があるといわれていますが、「突然退職代行を使って辞められたらどうしよう」と不安に感じている経営者・管理者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、退職代行を利用する社員の行動パターンと、それを抑止するための方法について解説していきます。

ABAマネジメント協会
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この記事のポイント!
・退職代行を利用する社員の3つの行動パターンが分かる
・退職代行の利用を抑止するための3つの方法が分かる
・退職代行を利用する社員の特徴が分かる

退職代行サービスの現状は?

退職代行サービスの日本における市場規模は2023年には約30億円に達しています。

では退職代行サービスとは何かというと、「利用者に代わって会社に退職の意思を伝え、必要な手続きを代行するまでの一連のサービス」となります。

利用者のメリットとしては、「精神的な負担を軽減してスムーズに退職できる」という点が挙げられます。「上司に言い出せない」「とにかくすぐに今の状況を脱したい」というケースで、このサービスが活用されやすいというわけですね。

ただ、デメリットとして「職場との関係が完全に断たれてしまう」という点も挙げられます。

退職代行を利用する社員の行動パターン

退職代行を利用する社員は主に20代から30代の若年層が中心といわれており、特に過剰なストレスや不満を感じやすい職場環境にいることが多いです。

具体的には、以下のような特徴があります。

  • 年齢層:主に20代~30代
  • 職種:接客業、サービス業、IT業界など多岐にわたる
  • 職場環境:高ストレス環境、長時間労働、不適切な上司との関係

退職代行を選ぶ理由としては、上司や同僚とのトラブル、過剰な業務負担、精神的なストレスなどが挙げられます。これらの背景には、労働環境の悪化やコミュニケーション不足があります。

そして、退職代行を利用する社員の主な行動パターンは以下の通りです。

  • ストレス蓄積による行動
  • 情報収集による行動
  • 迅速な決断による行動

それぞれ、具体的に行動パターンを見てみましょう。

ストレス蓄積による行動

退職を決断するまでに長期間のストレスや不満を抱えるケースです。この期間中、何度も退職を考えつつも、決断に至らない状態が続きます。

特に、上司からの過剰な要求や同僚との不和が続くと、ストレスはさらに増大します。これが継続すると、心身の健康に悪影響を及ぼし、最終的には退職を決断し行動に移ります。

このような行動パターンを取る方への対応策ですが、定期的なコミュニケーションの機会を作り、早期に問題を発見して対処するのが望ましいです。

情報収集による行動

退職代行サービスについてインターネットで情報を収集し、口コミを確認するケースです。

退職を決意する過程で、まずインターネットを利用して退職代行サービスについて調べ始めます。具体的には、サービスの内容や費用、利用者の口コミなどを詳細にチェックしたりします。

口コミサイトやSNS、専門ブログなどを活用し、複数の情報源から信頼性のある情報を集め、その後に退職という行動に移ります。

自社と他社との比較が行動の一つの要因となるので、社内カウンセリング窓口や退職等に関するFAQを提供することで「社員が必要な情報を得やすくしておく」のが有効と考えられます。

迅速な決断による行動

何らかの要因で会社に見切りをつけ、迅速な決断で退職に至るケースです。

退職の意志は固まっているため、職場との直接のやり取りを避けることでストレスを軽減し、迅速に手続きを進めるために退職代行に連絡を取ります。

このケースの対処法として、退職前に相談できる窓口を設けて、社員が安心して退職について話し合える環境を整えるのが有効です。

退職代行を抑止するための方法

ここからは、「退職代行を抑止するための方法」を紹介していきます。

その方法は以下の3つです。

  • 報酬とキャリア成長の支援
  • 職場環境の改善
  • 早期対応のサポート体制

報酬とキャリア成長の支援

社員の努力や成果を認め、適切な評価をして報酬に反映させたり、昇進の機会を提供します。

優れた業績を上げた社員にボーナスや特別手当を支給したり、スキルアップのための研修やセミナーを提供するのも有効です。

また、社内での昇進のチャンスを明確にして、長期的なキャリア目標を持たせることによって、退職の抑止につなげることができます。

職場環境の改善

労働条件を見直し、働きやすい環境を整えます。

具体的には、残業を減らし、有給休暇を積極的に取得させるほか、リモートワークなど柔軟な勤務形態を導入します。

また、定期的にコミュニケーションの場を設け、上司と部下の間で業務の進捗や個別の悩みを話し合う場を作ります。これにより、社員のストレスが軽減され、職場への不満が減少します。

早期対応のサポート体制

退職の兆候が見られた社員に対して、早期にサポートを行います。具体的には、メンタルヘルスの専門家によるカウンセリングを定期的に行い、社員が気軽に相談できる環境を整えます。

また、上司とのコミュニケーションの場を定期的に設け、社員の業務進捗や悩みを共有し、問題が深刻化する前に対応します。これにより、社員は安心して働けるようになり、退職を防ぐことができます。

まとめ

ここまで、退職代行を利用する社員の行動パターンと、その抑止方法について解説してきました。

「報酬とキャリア成長の支援」「職場環境の改善」「早期対応のサポート体制」に注力することで、企業は退職代行の利用を減少させ、健全な職場環境を築くことができます。

退職代行について不安に思われている経営者・管理者の方は是非この記事を参考にご対応いただけたらと思います。