今回の研究内容3ポイント

・フィードバックは正確でなくてパフォーマンス向上させる可能性がある

・不正確でも過大なフィードバックはパフォーマンス向上させた

・不正確でも過小なフィードバックは効果が薄かった

パフォーマンス向上におけるフィードバックの正確性について

組織マネジメントにおいて、フィードバックは頻繁に用いられる手法です。
フィードバックを行う目的はいくつかありますが、その一つとしてパフォーマンス向上が考えられます。

しかし、パフォーマンス向上のためのフィードバックはどの程度の正確性が求められるのでしょうか。
「頑張った」という抽象的なフィードバックもあれば、「あなたの今週のタスク進捗は〇〇%でした」という客観的フィードバックもあります。

そこでPalmer, Johnson & Johnson (2015)の研究では、フィードバックの正確性が、パフォーマンス向上にどの程度必要かを検討しました。

正確なフィードバックVS不正確なフィードバック

最初に行った実験では、

①正確なフィードバックを受ける人(こなしたタスク量の事実を本人へフィードバックした)

②不正確なフィードバックを受ける人(本人ではなく他者のパフォーマンス情報をフィードバックした)

③フィードバックを受けない人

の3条件にわけて、パフォーマンスが向上するか調べました。

その結果、各フィードバック条件に明確な違いは見られませんでした。
これは、フィードバックが正確である必要がないかもしれないことを示唆しています。

実験後に、②不正確なフィードバックを受けた人へ、「自身が不正確なフィードバックを受けている自覚があったか」を聞いたところ、フィードバックが正確であると信じていたことがわかりました。

この実験では、フィードバックが不正確であってもパフォーマンスの向上が見られる場合があることが示唆されましたが、フィードバックの正確性がパフォーマンスにどの程度影響するかについてはさらなる研究が必要です。

過大なフィードバックVS過小なフィードバック

2つ目の実験として、フィードバックの正確性がパフォーマンスに与える影響をさらに詳細に検討しました。

1️⃣正確なフィードバック

2️⃣実際のパフォーマンスの3倍の過大なフィードバック

3️⃣実際のパフォーマンスの1/3の過小なフィードバック

4️⃣フィードバックなし

これら4条件にわけ、追加の実験を行いました。

その結果、正確なフィードバックと、過大なフィードバック(3倍)は、パフォーマンスの向上に効果的であることが示されました。
これは、正確なフィードバックが、対象へに実際のパフォーマンスに基づいて改善する動機を与えるためと考えられます。

逆に、1/3のフィードバックは、パフォーマンスの改善にはほとんど効果がないことが示されました。
この結果は、過小なフィードバックが対象者にとって実際のパフォーマンスを過小評価させ、動機を低下させる可能性があることを示唆しています。

まとめ

この研究の結果、フィードバックの正確性がパフォーマンスに与える影響は非常に重要であり、特に過大なフィードバックであっても、フィードバックを与えないよりはパフォーマンスの向上に貢献することがわかりました。しかし、過小なフィードバックは、パフォーマンスの改善には効果がないことが示されました。

参考文献

Michael G. Palmer, C. Merle Johnson & Douglas A. Johnson (2015) Objective Performance Feedback: Is Numerical Accuracy Necessary?, Journal of Organizational Behavior Management, 35:3-4, 206-239.

 

※ブログ記事では公開出来ないような、実態や本音を交えた内容をメールマガジンでお伝えしていますので、ご感心ある方はぜひ下記よりご登録お願いします。