「結果」が、その後の行動に影響を与えている―――。

ABA(応用行動分析学)の重要な考え方のポイントですが、
これは、はやければはやいほどよく、
時間も重要な要素なのです。

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★即時フィードバックが人を動かす。【行動分析学で人を動かす】
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ちょっと豆知識、でも結構実用的なお話です。

「行動に影響を与える結果の出現は、同時が一番強く、
その後即時から時間が経つに連れ、ほとんど影響を与えなくなってしまう」
という法則です。

行動と同時に結果が出る場合が一番影響を与え、
実は、そこから1秒や2秒経っただけでも、
急激に影響度が下がってしまっています。

例えば、犬にお手を教えるときのことで考えてみましょう。

最初は辛抱強く、犬に「お手!」というような声をかけ、
身振り手振り、自分の手に足(手?)を乗せさせようとしますね。

そして、お手をしたその瞬間に、
「よし!よし!良い子だ!」と褒めながら、
ご褒美のエサを出すわけです。

この「褒め言葉(言葉は理解していないが、飼い主が喜ぶ)」や「エサ」が、
行動の直後に出ることで、お手を繰り返すようになるわけです。

これが、このような結果(褒められる、エサ)が、
10時間も後になって出てきたとしても、
お手という行動には、全く影響を与えられないということです。
遅すぎるのですね。

動物での実験は多く行われていて、
数秒経ってしまうと、ほとんど影響が与えられないのが分かっています。

★人間には言葉がある

しかし、私たち人間には、他の動物とは決定的にちがう、
「言葉」というものがあります。

この言葉があるおかげで、
動物では即時フィードバックでないと意味がなかった結果の出現が、
後になっても影響を与えられるようになっているのです。

言葉として、「この行動をした」から「この結果が出現した」と関係付けられるのです。

人に対しての、このような、結果の遅延に関しての行動への
影響力に関する実験データはあまりないのですが、
一説にはそれでも2週間以上経過すると、
行動への影響力はほとんどなくなると言われています。

頑張って行動した直後に、
誰からもフィードバックされないような行動は、
強化(弱化)もされにくいのです。

逆に、頑張った直後に、褒められたり、
嬉しい言葉をもらったりすると、
その行動は繰り返されるようになります。

部下のモチベーションを上げることのできる有能な上司は、
いつも部下を気にかけていて、褒めることを後回しにはせず、
即時に声掛けしているのではないでしょうか。

「いつも見てくれている」という環境が、動機づけの起きる職場なのです。

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★編集後記
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昨日は居住するマンションの理事会でした。
私は今年は副理事のため、会合に参加。

委託している管理会社に任せっきりにした方がいいのか、
細かく口出ししたほうがいいのか、
そのバランスがなかなか難しいですね・・・。

相手を信頼しつつも、
肝心なところは確認する、という感じで、
空気を読みながらしっかり最後まで務めたいと思っています。