なんとなくシリーズ化している、
ちょっと使えるABA(応用行動分析学)のお話。

本日は「対提示(ついていじ)」というものをお伝えします。

世の中には、この対提示によって、
さまざまなもののが「好子」になったり、
「嫌子」になったりしているのです。

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★対提示(ついていじ)とは。【行動分析学で人を動かす】
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〇パブロフの犬

「対提示」は「ついていじ」と読みます。
有名なところでは、パブロフの犬の例があげられます。

もともと、「ベルの音」というのは、
犬にとって好ましいものでも、
嫌なものでもない「中性」の刺激です。

しかし、毎回エサという生得性の好子と一緒に、
ベルの音が鳴ることで、ベルの音自体が好子としての機能を持つようになるのです。

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【対提示(ついていじ)】
「ある刺激が、別の刺激と一緒に提示されること」

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パブロフの犬の話では、ベルの音がエサと対提示されることで、
ベルの音自体は好子になり、ベルの音でよだれが引き起こされたのでした。

我が家のネコも、クリッカーというカチッ、カチッという器具を、
毎回エサを出すのと対提示することにより、
クリッカーのカチッという音自体が好子になりました。

トレーニングにおいては、お手という行動をしたタイミングから、
できるだけ間髪入れずに好子を提示したいため(より強化になる)、
エサだけで好子をだすよりも、音で早めに提示したほうがトレーニングの効果が出やすくなるのです。

その他、気づいていないだけで、よくよく考えてみると、
世の中は対提示に溢れていたりします。

〇対提示の例

たとえば、CM。
テレビや雑誌などで、好感度の高い有名なタレントや俳優、
スポーツ選手などが商品を宣伝しています。

好感度の高い有名人は、好子としての要素が多くありますので、
それと一緒に「対提示」される商品の好感度も上がるわけです。

これは逆のケースもあり得ますので、
スキャンダルなどで印象が悪くなった有名人は、
やはりCMには使われなくなってしまいますね。
対提示される商品も悪い印象になってしまいます。

最近では、SNSなどで有名人と一緒に映っていたり、
話題のカフェで人気の料理などを自分と一緒に公開したりしています。

これも対提示の一つで、印象UPにつながったりします。

子育てなどでは、薬を飲ませるときに、
好きなおもちゃと遊ぶのと一緒にやったり、
好きな食べ物と交互に飲ませたりして、できるだけ、
よいものに転換できるように対提示をしているのです。

とても素敵な風景の場所で、
心地よい空間の中で、
美味しい料理と一緒に「対提示」されれば、
その人自身も、きっと相手の人の「習得性の好子」になるのかもしれませんね。

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★編集後記
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今日は、帰宅中に娘からLINEのメッセージ。

「セブンティーン買ってきて~」

若い子向けのファッション雑誌ですね。

「わかった」とはいいましたが、
買うときのレジが、なかなかに恥ずかしい。

さすがに、私の趣味とは思われず、
娘さんでもいるのかな、と思っているはずですが・・・。

店員さんに、「チラッ」と、
顔を見られた気がします。