本日は日曜日ということもあり、
ちょっと大胆なお話を。

現実的ではないかもしれませんが、
こんな考えもある、と思って読んでいただけると幸いです。

—————————————————————————————
★パラダイムシフト。【行動分析学で人を動かす】
—————————————————————————————

「パラダイムシフト」という言葉をご存知でしょうか。

「パラダイムシフト(paradigm shift)」とは、その時代において、
常識であり、当たり前であると思われていたものが、
ある起点から劇的に変化して覆えることをいいます。
「パラダイムチェンジ」という場合もあります。

例でいうと、

「昔は地球の周りを太陽や星が回っているという考えが常識で、当たり前だった。
しかし、ある時期にパラダイムシフトが起こり、
今では地球が太陽の周りを回っているというのが常識になっている。」

天動説→地動説は、パラダイムシフトの分かりやすい例です。

同じように、以前は常識で当たり前と思われていたものが、
現代では非常識、違う考えが常識になっているものはたくさんあります。

雨が降らないのは、神様が怒っているからだ。
人が熱を出すのは、呪いにかかっているからだ。

今では、こんなことを本気で言ったら、変な人と思われるかもしれません。
しかし、人間の歴史でいえば、ほんの少し前まで、
上のようなことが常識として考えられていたのです。

こっちが常識だった期間の方がはるかに長いでしょう。
もしかしたら、今の時代でも、こちらが常識な社会もあるかもしれません。

逆にその時代に、雨は水蒸気がもたらす自然現象だとか、
熱が出るのは体にウイルスが入り、それを追い出す抵抗で出ている、
などというような、科学的なことを言う人がいたら、変人扱いされていたのです。

神様への冒涜だとか、頭がおかしい人だとか、
その時代においては否定されていたのです。

地動説もそうですね。処刑すらされかねません。

そして、その常識であれば、対応や解決の仕方も変わってきます。

神様が怒っているから、それを鎮めようと雨ごいをします。
呪いを取り払おうと、呪術師が祈祷します。
場合によっては、いけにえなどを差し出すこともあったと言われています。

今では信じられないかもしれませんが、
パラダイムシフトが起きる前は、そちらが当たり前だったのです。

さて、ここから先は勝手な想像です。

人の行動に関する考え方に、パラダイムシフトは起こるでしょうか。

今の時代、人の行動は、「心」が先にあって、
それが「行動」を引き起こしているという考え方が一般的であり、
常識なのかと思われます。

それに対して、「行動」は、実は「心」で引き起こされるのではなく、
環境に対する刺激反応の結果に過ぎない、という考え方があったら、どうなるでしょうか。

今の常識から考えると、人間には心があり、意志がある、
それを否定するのは人間への冒涜だ、ということになるかもしれませんね。

ABA(応用行動分析学)の創始者でもあるB・F・スキナーは、
著書「自由と尊厳を超えて」で、行動は人の自由意思が引き起こしているということを否定しています。

日本よりも「自由」というものに、より価値を置いている欧米において、
しばらく(もしくは今でも)、スキナー博士は変人扱いされたりしていました。

一方で、その科学的根拠が認められている功績も大きく、
アメリカでは心理学者の間で選ぶ、もっとも偉大な心理学者の第一位になったりもしています。
批判も賞賛も混合している状態なのです。

目に見えないもので、科学的に解明されていないものは、
まだまだたくさんありそうです。

目に見えない神様ではなく、低気圧の雲が雨を降らしていました。
目に見えない呪いではなく、ウイルスや菌が熱を引き起こしていました。

そして、パラダイムシフトの前後では、その対処法も変わっています。

雨ごいではなく気象観察になり、
祈祷ではなく薬になっています。

もし、人の行動にパラダイムシフトがおこったら、
やはり対処法は変わってくることでしょう。

人の行動は「心」が原因。
それを主張する人が、逆に笑われる時代がくることはあるのでしょうか。

今の常識の世界に住んでいる我々には、
あまり想像もつかないことですが、全くないとも言い切れないと、私は思っています。

そして、それは決して悪いことではなく、むしろ良いことなのです。

雨ごいをして、解決にいたらないよりも、
気象観察の方が生活の質を高めます。

呪術師が祈祷するよりも、薬を処方したほうが命が助かります。
いけにえ、という不幸もなくなっています。

人の心には、まだまだ科学で解明されていなことがたくさんありそうです。
解明されたくないところにあるような、尊厳あるものなのかもしれませんね。